2023年度開催報告
第1回公開講座(ハイブリッド開催)
開催日時:2023年5月22日(月)15:00~17:00
開催方法:ハイブリッド開催(Zoomミーティング・会場 閲覧室)
発表者:
古宇田亮修(三康文化研究所研究員・淑徳大学長谷川仏教文化研究所専任研究員)
「『バガヴァッド・ギーター』の翻訳をめぐって」
西村実則(三康文化研究所研究員・大正大学名誉教授)
「仏教と鐘」
定員:事前申込制 先着順 オンライン80名 会場20名
参加費:無料
内容: この度、三康文化研究所において古宇田亮修研究員(専門分野:梵語文献学、仏教思想史)と西村実則研究員(専門分野:釈尊伝・印度部派仏教・近代仏教学の確立)による2023年度第1回公開講座を5月22日にオンライン(ZOOM)を併用して開催しました。
古宇田亮修研究員は、「『バガヴァッド・ギーター』の翻訳をめぐって」と題し、その日本語諸訳を紹介するとともに、その翻訳上の問題について、外国語から日本語に翻訳するという行為は日本語にない概念を日本語に導入することでもあるので、新たな日本語を創造する作業とも言えます。翻訳という作業は、原語に忠実であることと、訳語として流麗であることという両者のせめぎ合い(矛盾)に対峙する行為であり、「理論的には実践不可能」なことに敢えて挑戦(実践)する営為にほかならないと提言しました。
西村実則研究員は、「仏教と鐘」と題し、鐘が仏教と深く結びついていることについて講演しました。初期仏教では静寂を旨としていましたが、教団が大きくなるにつれ、合図の 道具として使用され始めたこと、大乗仏教になると、それに加えて、祇園精舎の鐘のごとく「無常の響き」、あるいは仏の名が奏でられたり、除夜の鐘のように「滅苦」の意味も帯びるに至ること、更にキリスト教の鐘が、六世紀、仏教から伝播したことについても提言しました。 参考文献は、著書の『修行僧の持ち物の歴史』『ブッダの冠―仏・菩薩の持ち物考-』の二冊を取り上げました。
今回も、寺院関係者の方、大学関係者の方、浄土宗関係者の方、仏教にご興味をお持ちの方等35名の方から聴講のお申し込みをいただきました。今回もマスコミ関係者として、株式会社中外
聴講された方々のお声の一部をご紹介します。
「仏教文化に興味があった。鐘とキリスト教の結びつきは面白かった。」
「翻訳語の外国語を日本語に当てはめる時の難しさに興味関心を抱いた。」
「とても有意義な時間でした。学びの機会を頂き、ありがとうございました。」
「仏教関係の知識が増えて良かったです。」
「対面・ZOOM(後日、YouTube配信)併用形式は、遠方+その時間に参加できるかどうかわからない者にとっては、大変有難い形式なので、今後も続けて頂くことを強く希望します。」
また、今後講座で取り上げて欲しいテーマとして「浄土教全般」「日本近世仏教史」「徳川家康と増上寺」「仏性とは何か?」等のご要望をいただいております。
今後も、皆様のご期待に添えますよう、聴講された方々の貴重なご意見をご参考にさせていただき、みなさまのご要望に研究員の熱意で少しでもお応えできるよう取り組んでいきたいと考えております。
なお、今後の公開講座ですが、下記を予定しております。
開催方法:ハイブリッド開催(ZOOMミーティング)(会場 閲覧室)
定員:事前申込制、先着順 オンライン80名 会場20名
参加費:無料
第2回 2023年10月16日(月) 16:00~18:00(仮)
発表者:柴田泰山研究員 石川琢道研究員
※論題は未定です。確定次第ご案内いたします。
申込方法はホームページ、Facebook、Twitter等でご案内させていただきます。
第2回公開講座(ハイブリッド開催)
開催日時:2023年10月16日(月)16:00~18:00
開催方法:ハイブリッド開催(Zoomミーティング・会場 閲覧室)
発表者:
石川琢道(三康文化研究所研究員・大正大学准教授)
「『世親『往生論』入門 -なぜ浄土宗正依の論書なのか-」
柴田泰山(三康文化研究所研究員・浄土宗総合研究所研究員)
「『観経』に関する書誌学的整理」
定員:事前申込制 先着順 オンライン80名 会場20名
参加費:無料
内容: この度、三康文化研究所において石川琢道研究員(専門分野:中国浄土教思想史)と柴田泰山研究員(専門分野:中国仏教、浄土宗学)による2023年度第2回公開講座を10月16日にオンライン(ZOOM)を併用して開催しました。
石川琢道研究員は「『世親『往生論』入門 -なぜ浄土宗正依の論書なのか-」と題し、以下発表しました。世親の『往生論』は、正式名を『無量寿経優婆提舎願生偈』といい、浄土教に関する非常に重要な文献です。インドの著名な瑜伽行派の論師、世親が書いたこの文献は、阿弥陀の浄土往生への強い想いを語っています。これはインドで生まれた浄土教に関する唯一の現存する文献として、非常に大きな価値を持っています。特に、中国や日本では、この『往生論』は後世の浄土教に多大な影響を与えてきました。日本の法然もこれを浄土宗の大切な参考論書(正依の論書)としています。しかし、そのような著名度に反して、その内容はあまり詳しくは知られていません。
柴田泰山研究員は、「『観経』に関する書誌学的整理」と題し、版本系統の『観経』に着目し、多彩な文字の異同についてお話されました。インドにおいて無数の経典を創作し続けた大乗仏教は、西域を経由して、翻訳を通じて中国へと入っていきます。翻訳によって中国に紹介された無数の大乗は、それぞれが大乗経典として中国仏教における信仰と研究と実践の対象となっていきました。たとえば『観無量寿経』(以下、『観経』と略称)は、五世紀初頭に畺良耶舎によって翻訳され翻訳者の畺良耶舎自身が最も深く研究したと考えられる禅観実践経典として中国に紹介されます。この『観経』は翻訳後から禅観実践経典としての側面のみならず、中国の阿弥陀仏信仰において中核をなす経典として受容され、また宋代になって大蔵経として活字化され、さらに高麗版にいたるまで、あるいは日本や敦煌に残る古写経類も含め、多様な受容の過程を見て取ることができます。
今回も、寺院関係者の方、研究者の方、浄土宗関係者の方、他宗派関係者の方、仏教にご興味をお持ちの方等105名の方から聴講のお申し込みをいただきました。また、マスコミ関係者として、株式会社中外日報社の記者の方がオンラインで聴講・取材されました。ご聴講された皆様に心からお礼申し上げます。
聴講された方々のお声の一部をご紹介します。
「浄土宗以外の宗派の方のご意見が聴けて、良かったです。普段聞けない、世親の講義はありがたかったです」
「刺激を受ける内容で、とても興味深かったです。」
「専門的な内容で勉強を始めたばかりの私には少し難しかった。でも楽しく講義を聞けました。」
「初回ですが、専門家の講座とわかりました。今後、一般のものが参加していいのでしょうか(素朴に)。ただ最新の研究結果を直接拝聴できることは楽しいものです。」
「『往生論』について興味深かったです。」
今後も、皆様のご期待に添えますよう、聴講された方々の貴重なご意見をご参考にさせていただき、みなさまのご要望に研究員の熱意で少しでもお応えできるよう取り組んでいきたいと考えております。
なお、今後の公開講座ですが、下記を予定しております。
開催方法:ハイブリッド開催(ZOOMミーティング)(会場 閲覧室)
定員:事前申込制、先着順 オンライン80名 会場20名
参加費:無料
第3回 2024年 2月5日(月) 16:00~18:00(仮)
発表者:林田康順研究員 宇髙良哲研究指導員
論題:林田研究員 「弘法大師御生誕1250年記念―法然上人の弘法大師への思い―」
宇髙研究指導員 「徳川家康と増上寺」
申込方法はホームページ、Facebook、Twitter等でご案内させていただきます。